【コラム】9月の案件希望者指数は前月から悪化、この秋冬の傾向を予想

当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、9月月初の数値は52.86と先月から大幅に悪化した。前年のこの時期と比較しても1.2倍と依然としてフリーランス、派遣社員の需要が低い状態が続いている。

今年1月以降の案件希望者指数

この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。

昨年9月の数値は44、今年に入って最も高かった数値は6月の53.14で、今月は6月に次いで高い数値になっている。フリーランスが希望の案件にたどり着くにはまだまだ長い道のりを経る必要があるとできそうだ。

ただ前月までの傾向と比較すると、案件そのものの数も増えつつある。コロナ禍以降安定している業種に変化はないので、金融緩和、巣ごもり需要に関係する企業が非正規を利用する機会が増えていると思われる。これと同時に案件検索を再開したフリーランス、派遣も増え、今月のような結果になったと予想される。

今後の傾向としては2点が予想される。

1点目は、今年に入ってから3、6、9月で人余りの発生が顕著になっており、ユーザー(非正規を利用する企業)が四半期ごとに細かく雇止めを行っていることがわかる。コロナの影響が今すぐ払底される可能性はほぼ無く、今後もこのような雇止めの傾向は続くだろう。

2点目は特定業種において案件がじわりと増加している事だ。恐らくSES営業担当者が(新聞などを見て)景気の良さそうな業種に営業をかけている結果でもあると思われる。ただ需要に応える人材は(既に案件に入っていて)すぐには生まれず、来月以降はミスマッチのまま案件、案件希望者共に高止まりする傾向が続きそうだ。

冬には選挙が予定されており、その後の経済対策によっては非正規の案件増減にも大きな影響が出る可能性がある。偏りがはげしいながら案件が出始めている状況をうまく利用して、稼働空きのフリーランスは案件探しを行う必要がありそうだ。