【コラム】11月の案件希望者指数は2カ月連続で改善、フリーランスの”人手不足”は飲食店とは違った形が

当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、11月月初の数値は29.43と先月から更に改善した。前年のこの時期と比較しても0.65倍と大幅改善、ワクチン普及の効果が発揮された形だ。

今年1月以降の案件希望者指数

この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。

今年1月からの数値と比較しても(GWの連休効果で希望者が一時的に減った)5月に次いだ数値になっており、この冬から年度末の3月にかけて、企業の非正規需要改善が見込まれる。予算が確保できている企業は消化して景気回復に備える為だ。ただ、個別の案件ジャンルに目を向けると、これまで無かったような偏りが見られている。

例えば汎用機、IBM系機材や言語としてCOBOLを使う案件が毎日一定数各社で募集されている。コロナをきっかけに企業が利用を中止するどころか延命の為に人員を求めているようだ。なぜ案件は残っているのだろうか。

実は似た現象が北米でも起きている。コロナが原因で高齢のパイロット、整備士などがライセンスや技術の更新を中止、引退する人も一定数発生している。その間補充人員の教育は行われていなかった為、北米の航空業界は一時的に人員が逼迫している。
日本のフリーランスでも汎用機エンジニアは高齢の人が多かったため、現場復帰をしない人が一定数出てきていると思われる。当然若いエンジニアは将来需要に備えたスキルを習得するため、今からCOBOLを習得する事はない。このままだとエンジニアの補充が不可能になる案件が出るかもしれない。

日本でも既に飲食店の人手不足が顕著になっているが、この冬以降、ITでは古い技術の継承がぷっつり途絶えてしまう例がみられるだろう。現場では経費として処理される非正規にも「人生」がある。コロナ禍のまだまだ予想されなかった影響が各方面に及びそうだ。