【コラム】4月の案件希望者指数は前月からわずかに改善、長期的な展望は?

04/12/2021

当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、4月月初の数値は46.29とわずかながら改善、前年比で約1.5倍になった。

 

昨年7月以降の案件希望者指数

この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。

昨年の春はコロナ禍の中、新年度(3月~4月)をまたいで悪化が見られたが、この春は逆に下げ止まっている。これは先月の指数が悪く、これ以上悪化がしにくい状況が続いていたのも原因だった。現状はいわば高止まりの状態で、来月以降の指数を確認するまでは予断を許さない状況が続いている。

特にこの春は例年と異なっており、企業が新卒の採用数を昨年比で抑えている。このため新卒と組み合わせてプロジェクトに投入されるフリーや派遣も需要が落ちていると考えて良いだろう。派遣会社でもプロパーが余っているといった営業担当者のコメントが一部で聞かれており、数値以上の需要減が起きている可能性がある。

ただし今年の春はわずかながら希望の光も見えている。

新卒を採用しなかった企業がコロナ終息にあわせて新しいプロジェクトを開始した場合、一般的にフリーや派遣の需要は急速に高まる。コロナショックと逆の現象が今後どこかのタイミングで発生するかもしれないのだ。
また企業が新プロジェクトを開始しなくとも、企業の人員構成に(昨年~今年にかけて)大きな穴が開いているため、何かのきっかけで(社員代替として)非正規を集める機会も発生するだろう。今月月初の数値はその人員圧縮が限界に近付いていることを示しているのかもしれない。

とは言え、それもこれもコロナ終息にかかっており、ワクチンの国内導入が本格的に進んだ場合に限り、今年年末、もしくは来年には、部分的な非正規の需要回復が始まる可能性が高い。既に北米では航空などのコロナ直撃産業でさえ帰休中止がはじまっている。日本国内でも先取りの好きな経営者が居る企業(大型ベンチャー等)の非正規需要については注目しておいた方が良いだろう。

短期的には昨年の9月から12月にかけてのような高止まりの状態が見込めるが、底打ちは近い。今後の需要増を逃さないように、ここ半年程度をスキルアップなど有効に過ごしておくと良いだろう。