【コラム】12月の案件希望者指数は2ヵ月連続で改善、23年の非正規需要を考える(終)
当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、11月月初の数値は37と前月比で12パーセント改善した。昨年同月と比較すると20パーセントの改善で、年末の大幅な雇止めは一旦回避の兆しが伺える。
今年1月以降の案件希望者指数
この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。
戦勝やインフレの影響で、半期末の9月以降、フリーランスなどの非正規需要は不安定な状態が続いていた。しかし年末にかけては反動ともできる需要回復が起きている。景気が比較的安定していると、年末には一定数の雇止めが出ていたが、今年はその波がややずれた格好だ。このため年明け以降にどっと雇止めが増える可能性もあり、楽観はできない。
唯一希望が持てるのは、ロシアウクライナ紛争が小康状態で、インフレの動きも一時に比べると落ち着いた傾向にあることだ。本来ならこのインフレが給与や外注費に波及しなければいけないが、この年末にはそのような動きは見られない。
特に最近はRPAの需要が再興している。安い人件費の人たちをリプレースする目的もあり、非正規にとっては相変わらず悪いニュースが続いているともできそうだ。
勿論戦争などの外的要因もあるため、一概には言えないが、増税と天秤にかけると、政府の労働者保護は極めて脆弱としか言いようがない。既に日本は社会主義になっており、”働いたら損”な国になっている。
オンラインサロンやM&Aなど、集客に成功した人が、末端の労働者を込みで転売運用するのが一般的な成功になり、まじめにこつこつ働くことは搾取されることと同義になっているかのようだ。
また恐ろしいのは、官僚を含む政府がこの事実に気づいていないことだ。国際的にもこのよう状況は特異ではないだろうか。正社員を含む労働者として働くことに明るい未来が見えない国を、だれも変えられない、そんなぞっとする状況が来年は更に進む可能性もあると、多くの日本人が気づく必要があるだろう。
当コラムは本年を持って終了します。2023年からは不定期で非正規需要に関するコラムを掲載予定です。
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