【コラム】11月の案件希望者指数は前月から改善、年末以降は”駆け込み参画”が増加か

当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、11月月初の数値は41.57と前月比で18パーセント改善した。ただし昨年同月と比較すると29パーセントの大幅悪化、インフレ下の案件希望者増加は続いている。

今年1月以降の案件希望者指数

この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。

コロナ禍で需要をじわじわ伸ばしていたビッグデータ系の案件は、作業パターンが定型化した影響か、価格が下落している。インフレに合わせて人件費も高騰するべきところが、フリーランスにとっては残念な事態となっている。金融やゲームなど需要が安定している業界もあるが、こちらも単価上昇は起きていない。

今年も年末は賞与受領後に退職する正社員が一定数出てくるだろう、この欠員を急ぎ補充するために非正規の需要も出てくるが、ここで注意したいのは景気の悪化だ。アメリカではインフレと金利上昇の影響で来年以降大幅な景気悪化が予想されている。日本経済に波及すれば、単価は低いままでも、景気動向を察知して止む無く駆け込みで案件に入る非正規が増える可能性がある。

詳しくは12月の動向を見てから判断する必要があるが、今後コロナ、戦争とは直接関係しない形の不景気を我々は体験する可能性が出ている。非正規がまたもや”調整弁”として犠牲になるのか、政府がどう対応するか注視しておく必要があるだろう。