【コラム】7月の案件希望者指数は前月から悪化、案件の”定番化”が意味するもの

09/08/2022

当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、7月月初の数値は38.43と前月比で35パーセント増と大幅に悪化した。しかし昨年の同月と比較すると約76パーセントと大幅改善、非正規雇用に影響を与えているのはコロナ患者の増減から戦争、インフレに移りつつある。

今年1月以降の案件希望者指数

この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。

ロシアのウクライナ侵攻によるインフレなどの経済的な影響が、日本国内では比較的弱いため、コロナ禍からの復興の影響が数値にも表れている。いわゆる”日常が戻った”状態が近づいており、昨年と比べて数値が改善しているのはSES企業等にとっては安心材料になるだろう。しかし戦争やコロナが無関係だった頃にもあった”夏枯れ”が非正規需要に訪れつつあり、良くも悪くも正常化がはじまっているとできそうだ。

個別の案件を見ると、RPAやマイナーなフレームワークの案件がある以外は、クラウド、Java、PHP、マネジメントなどのコロナ禍でもあったような案件が引き続きみられている。Goやビッグデータの案件はむしろ減少傾向にあり、新しい技術に挑戦できるような案件は見られなくなって来ている。

いわゆる”定番”案件は今後も無くならないとは思われるが、コロナ禍前のDX、ビッグデータブームのような現象が起きないと、非正規需要も活性化しないだろう。新技術は他技術で経験が少ない"駆け出しエンジニア"を吸収する効果もあったため、官民隔てなく新しい分野への取り組みが求められている。

今週末の選挙後には新しい政府方針も示されるだろう。Web3やNFTなどの取り組みが掛け声倒れになるのか、今年下半期の起爆剤になるような提案があるか、選挙後の動向に注視が必要だ。