【コラム】10月の案件希望者指数は今年最悪、自動化のしわ寄せが非正規に?

当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、10月月初の数値は50.57と前月比で25パーセント大きく悪化した。前月に続き2ヵ月連続して悪化が続いている。昨年同月と比較しても34パーセントの大幅悪化、半期末になって多くの非正規がリリースされ、案件希望者が増えたようだ。

今年1月以降の案件希望者指数

この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。

個別の案件で見ると、(対応可能者が限られる)金融などの案件については引き続き堅調、NFTなどの新技術に関する案件もちらほら出ている。一方メーカー社内での案件は減少、一時多かった製薬系も減少がみられる。
面白いのは、RPAなどの自動化関連がこの秋盛り返しつつある事だ。ちょっとした派遣社員に任せていた作業を正社員とツールで賄いたい…という需要がじわじわ増えているようだ。

デジタル庁などによるフルデジタル化の波も地方に波及し始めており、紙仕事をしていた非正規をツールにリプレースする需要は、今後(地方中小企業を含めた)全国的な動きになる可能性がある。加えて原材料価格の急激な上昇が企業のリストラ意識を高め、”ちょっとしたお手伝い”を標榜していた非正規労働者が今後日本中で仕事を失う可能性が出ている。

政権は学び直しに関する予算を追加して、プロフェッショナルの底上げを検討しているようだが、そもそもプロになれないから価格の安い非正規に落ち着いていた人たちが、今後どこまで売り物になるレベルのスキルを習得できるかは未知数だ。成功しても高額な課税があり、成功しなければ居場所がなくなるニッポンの現実に、国民全員が飲まれてしまう可能性さえ出ている。