【コラム】1月の案件希望者指数は前年比で5.5倍、前年比としては過去最高

当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、1月月初の数値は32.33と前年比で5.5倍と前年比では過去最高の値になった。

昨年7月以降の案件希望者指数

この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。

1月の案件希望者指数は32.33で、先月と比較すると9ポイント改善した。しかし例年は1月から案件探しをする人は少なく、(コロナの影響が表れていない)昨年1月の案件希望者指数は5.83と非常に低い値で保たれている。そもそも正月から職探しをしないといけない立場の人がこれだけいる現在の状況自体、異常ともできるだろう。
またコロナ禍の影響が最も色濃く表れた昨年7月でも、前年比で4.7倍と5倍を超えることはなかった。昨年冬に一時的に案件探しをあきらめていた人が、年初から改めて案件探しを始めた可能性もあり、今後の指数を注視する必要がありそうだ。

グッドニュースとしては年初から案件数が安定しており、コロナ禍の状況でもデジタル化やリモート強化などのIT需要が一定数存在していることがあげられる。しかし現在の状況を相殺するレベルにはなく、今後幅広い分野での案件増加が求められるのは間違いない。

最大の懸念事項は雇用調整助成金などの政府予算が払底しつつある事だろう。大手企業や公的な機関の案件は一部が助成金により成り立っており、これらが今後終了、減少する可能性もある。中小企業デジタル化応援隊事業のように、民業を代替するように中小企業やフリーランスに直接仕事を回している例まである。この中小企業デジタル化応援隊事業は今年2月末で終了すると中小企業庁より発表されており、今後フリーランス、副業需要などへの影響は必至だ。

中小企業デジタル化応援隊の未完了案件数が、1月時点で数千件残っていることからも、中小需要の掘り起こしはまだ十分行われていない可能性がある。政府予算が昨年のような大盤振る舞いをできない現在、非正規需要の情報発掘が大至急急がれている。