【コラム】事業再構築補助金で類似案件を応募すると不正になる? 事務局に聞いてみた

中小企業庁がコロナ禍のピボット(業態転換)支援として開始した事業再構築補助金で、不正とみなされて採択取り消しになっている案件があることがわかった。

総額が非常に大きく、事業規模が大きい法人も含めて対象になっている事業再構築補助金は、既に2回の採択結果が出ており、様々な業種で適用になることがわかっている。
しかし類似の案件をわけて応募するなどした場合、不正とみなされてしまい、その後の応募もできなくなっている。

事業再構築補助金公式HPを見ると、公募要領には以下の記載がある。

>以下に該当する事業計画である場合には、不採択又は交付取消となります。

>・他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業
>※他の法人・事業者と同一又は酷似した内容の事業を故意又は重過失により申請した場合、次回以降の公募への申請ができなくなりますので、十分ご注意ください。

感覚的には同じ事業で複数回応募は無理と容易に理解できる。しかし公式サイトにはかなり具体的に記載された応募例もあり、該当する複数の事業者が(類似の業態、方向性で)同じような応募をすることはあるだろう。
また”必勝法”とできるようなテンプレートを配布しているコンサルタントも一部にはある。判りやすく記載した結果でもあり、これらを利用した場合、不正とみなされるのは不公平ではないかとも思われる。

このため、重複応募になりそうな案件例の程度について、事務局に電話で質問してみた。

Q) 居酒屋のチェーン店が宅配サービスをはじめる場合、別法人のフランチャイジーが同一のサービス名称で重複応募は可能か?

公募要項によると、同一法人(議決権を持つ子会社含む)による重複応募は既に不可となっている。資本関係は無く、商標などを共有するフランチャイズ事業者は、本社とは別に応募が可能なようだ。
この場合、サービス名称(例:●●居酒屋デリバリー)やサービス内容は、複数の法人申請書面にほぼ同一の記述で登場するが、個別の案件とみなされ、各採択される可能性がある。資本関係や、売上の減少幅など、事情としては個別の案件であることをしっかり示しておく必要があるそうだ。

もちろんこの補助金は、有識者による審査(事務局)があるため、人間的な幅が発生する可能性もある。似たフォーマットで一気に何件も応募した場合、どのような事が起きるかは未知数で、今後も採択状況を注視する必要がありそうだ。