【コラム】2021年の案件希望者指数、2022年の需要は

当サイトで案件希望者指数(1日あたりの稼働空き・案件参画希望者数を指数化したもの)を定点観測していたところ、2021年の案件希望者指数の推移は、上半期は前年と同じように推移し、下半期は前年とは異なる動きが見られた。

2020-2021年の案件希望者指数推移

この指数は各月月初、各社に案件参画希望として公開されるフリーランスや派遣会社勤務のエンジニア・コンサル・SEの人数を元に計算したもので、案件に参画したいがフリー(要するに参画できる仕事がない)状態の人の増減を示している。

コロナ禍以降定着した”節約”

コロナ禍の影響が顕著になりつつある2020年上半期と比べると、2021年上半期は、経済的なダメージが非正規需要に大きな影響を与えており、全般に高めで推移している。季節要因となる四半期末の上昇傾向(3、6月に雇止めが起き、希望者数が上昇する傾向)も、各年同じように表れている。

一方2020年下半期と2021年下半期を比較すると、2020年7月にパニック的な雇止めが発生した後、全般に高めで推移しているのに対し、2021年下半期はやや改善、ただし四半期末である9、12月の上昇傾向がはっきり表れるようになっている。特に今年10月、11月は前年から改善しているが、直近の12月には再度前年並みに上昇した。

過去のコラムでも記載しているが、コロナ禍以降、非正規需要は四半期毎に細かく調整される傾向が定着しているとできそうだ。

”細切れ利用”は2022年以降改善する?

今年上半期までの世界的な金融緩和の影響で、景気は下支えされてきた、しかし日常生活が取り戻せたとは言えない状態が続いている。場合によってはこうした非正規の”細切れ利用”が株価上昇の一因になっているのかもしれない。
そんな中、岸田総理は官製による”賃上げ”を各所に要請しているが、非正規の利用料金は賃金でないので現在のキャンペーンには含まれていない。正規労働者の賃上げや輸入品の高騰が、非正規利用に悪影響を与えることも予想される。

非正規が取れる”手段”

欧米のように非正規が労働を放棄することにより、アルバイトや派遣労働者が集まらず、時給が短期的に急上昇する可能性もゼロではない。特に日本国内では飲食店従業員でその傾向がみられている。
しかしITやコンサルのような業種に波及するには至らず、今後時給上昇より先にインフレが到来する可能性もあるだろう。
これまで”経費”として使われてきた人たちは、社会に対し、毅然とした態度を示す日が訪れるかもしれない。

このように非正規をとりまく環境が改善する要因がほとんど見つからない状態が2022年は続きそうだ。

非正規労働者にも家族の進学や介護など、年単位で計画すべき事項は多いだろう。利用する側はそれで良くとも、四半期毎に売り上げを絶たれる人生が当たり前になってしまう現状を、政府は許容していいのか、2022年年初には効果的な対策が求められている。